全長なんと約1メートルの大魚、鱈。東北地方では冬の神事の際の供え物にもなり、生で食されるほか、乾物(棒だら)や塩漬け(塩だら)にも加工される。旨味成分のひとつであるイノシン酸は分解が早く、鮮度が落ちると旨味が急速に低下し、特有の匂いのもととなるので、鮮度が重要な魚である。鮮度さえよければ、旨味の詰まった白身は刺し身としては申し分なく美味。刺し身で食べたければ産地に足を運ぶといい。

二十四節気の大寒にあたるこの時期は、寒さの底。鱈の切り身をもっともシンプルに味わう鍋料理「鱈ちり」で身体を温めたい。酒と昆布の入った鍋のベースを用意し、鱈の切り身や豆腐、白菜、ねぎ、春菊などを煮てポン酢しょうゆで食す。かんずりや赤柚子胡椒、もみじおろしなどの薬味で辛味を添えるとアクセントとなり、なお美味しい。

煮たり蒸したりすると淡白な味わいの魚だが、揚げると香り高い風味を放つので揚げ鱈のみぞれ煮鍋もおすすめだ。だし汁に醤油や酒などで薄味に調味し、素揚げした鱈やねぎ、ほうれんそうなどを入れて大根おろしを加えて煮、こちらも鱈ちり同様の味付けでいただく。鱈ちりとはまた違ったコクや風味が加わり、食べごたえも十分。白子や牡蠣などを入れてもよい。