寒中の恒例行事といえば、五節句のひとつに当たる1月7日の人日に、無病息災を願って春の七草が入った「七草粥」をいただくこと。自生する生命力溢れる野草を摘み、それを粥に入れていただくことで野草のパワーをいただこうとする先人から伝わる料理である。旧暦では正月過ぎ(現在の1月下旬~2月中旬頃)に食されていたものであり、場所にもよるがその頃であれば容易に七草を見つけることができる。

とはいえ、野草のパワーを体に取り込むという意味では、七草揃わなくとも旬の青菜だけで十分。冬が旬の力強い芹やかぶの葉、大根の葉で粥を作ればよく、残っている餅も角切りにして加えればなお一層力が湧く七草粥ができあがる。とくに芹(せり)は、ちょうど今の時期にすくすくと群れ生え、根までおいしい香り高いものが出回りはじめる。春のかすかな訪れを感じさせてくれるのも、この芹である。

芹の高貴な香りは白和えに入れるとより一層香り立つ。生のまま、ソテーした牡蠣などと和えてホットサラダにしてもその香りが鼻をくすぐり心地よい。根の部分は丁寧に洗って水気を拭き、薄衣をはたいてフリットにしてもおいしい。