大豆は大豆でも、熟して乾燥しても緑色のままの大豆がある。青大豆だ。一般的な大豆よりも甘みが強いと言われ、まろやかなな味わいが楽しめる。正月には青竹や椿のような常緑のものが尊ばれるように、青大豆も山形の正月料理には欠かせない食材だ。栽培に手がかかり局地的に栽培されているものなので広く流通はしてはいないが、正月用に買い求めてみるのもよい。

かの山形では、青大豆をだしで浸したものが「ひたし豆」という名前で親しまれており、正月にはこれにかずのこを加えた「数の子豆」が作られる。一晩たっぷりの水でもどした青大豆を柔らかく茹で、塩抜きした数の子と一緒に醤油や塩、酒、みりんなどで味付けした鰹昆布だしに浸して味をゆっくりと含ませる。ガーゼに包んだ鰹節を上にのせて追い鰹をすれば、より芳醇な味わいを楽しめる。オリーブオイルをかけて白ワインと合わせても美味なる味わいに。県内の一部では「青黒大豆」とよばれる品種も栽培されており、青大豆の青さが一段と濃く、冴え冴えとした色味が楽しめる。