一年で最も太陽のエネルギーが小さくなる冬至の日は、黄柚子づくしで過ごしたい。まずは、半割りにした柚子を湯船にぷかぷかと浮かべた柚子湯から。黄柚子の香りは冬の到来を告げる。和食の椀ものもそうだ。たった一片の柚子皮が蓋を開けるときにふわっと香り立ち、季節を雄弁に語り出す。

柚子の素晴らしいところは丸ごと食べられるホールフードだということ。皮も実も一緒にスライスしてはちみつで漬けたものを湯で溶けば、体を芯から温めてくれる柚子茶に。角切りの大根とりんごと薄切りのゆずを塩揉みすれば、甘みと酸味と塩気が絶妙の即席ピクルスが完成する。

皮は料理の風味づけに、果汁はポン酢にとそれぞれ欠かせないものであるが、種にも使い道がある。種の中にとろみ成分がぎゅっと濃縮されているので、天然のハンドローションが作れるのである。柚子を使うたびに種を採取して、丁寧に洗って干したもを小さな保存瓶にためておく。半分程度までたまってきたら、種がかぶる程度までクセのない焼酎を注いで一週間待つだけ。するとあら不思議、とろんとしたローションが出来上がる。ポンプ式の容器に詰め替えれば調理中にアルコール除菌も兼ねて使えるので、お試しあれ。