「蜂蜜の歴史は人類の歴史」といわれるほど、古代より採取されていた貴重な天然の甘味である、蜂蜜。さまざまな花の蜜から採取される蜂蜜は、じつに個性的。アカシアやクローバーのようにクセのないさらっととしたものから、蕎麦の花や野ばら、桜にみかんなどの花蜜を採取したものまで枚挙にいとまがない。これらほとんどは、花こそ違えど、セイヨウミツバチが採取したものであるのに対し、貯蜜量が少なく、自然な環境でしか巣を作らないニホンミツバチが集める百花蜜にこだわる養蜂家も存在する。高価ではあるけれど、機会があればぜひ味わってみたい蜂蜜だ。

本来蜂蜜の旬は花が開花する4〜5月だが、濃厚でナチュラルな蜂蜜の甘みを本能的に身体が欲すのは、凍てつくような寒さの日。蜂蜜には強力な殺菌消毒作用と保湿効果もあるため、喉を痛めやすい今の時期は意識的に食したい。

身体を温めつつひと息つくなら、りんごやみかん、レモンなどのフルーツとシナモン、クローブ、黒つぶ胡椒などを赤ワインと一緒に煮込み、蜂蜜を加えたホットワインを。たっぷりのバターを塗ったトーストに薄切りのりんごを並べ、蜂蜜をかけていただくフレッシュアップルハニートーストも冬の定番。ブルーチーズやリコッタチーズに蜂蜜をたらり、ドライフルーツやナッツ一緒にお皿に並べたアソートは、クリスマスや年末など人が集まるホームパーティーにぴったりである。