先日、ニョーヨーク近代美術館MoMAで写真家Stephan Shoreの展覧会を見て来た。彼のキャリアを年代順に網羅する内容でとても見応えがあった。彼が対象とするのは、ずばりアメリカの景色である。アメリカのロードサイドのダイナー、リビングのダイニングテープの上にばらまかれたジグゾーパズル、郊外の店の空になったショーウィンドウ。どれも、アメリカのそこら中にありふれた景色であるが、なんともひなびていて美しい。


ぼくは中でも「American Surface」というセクションがとても気に入った。アメリカの都市には、ヨーロッパのように、歴史を持ったモニュメントや建造物、広場はないかもしれない。しかし、そのSurface(表面)を切り取ると、同じように、人々の暮らし、文化がシミのように滲み出している。言い換えれば、その景色は、多様な意図と条件によって構成されたものだ。偶然の産物といえば単純に聞こえるが、Shoreはその手法を繰り返すことでアメリカの都市の魅力を浮かび上がらせているように思う。

ぼくも建築という「場」をつくるものとして、いわゆる巨匠のスケッチに代表されるような建築家の作家性ありきのものより、多様な価値観が参画できるような状態を作り出すことを目指している。その意味において、都市の景色に現れるふとした美しさに学ぶことは大いにある。Shoreの写真は、そうした都市の見方をいくつも教えてくれる。会期が終わる5月までできるだけ足を運びたい。

隈太一

隈太一

建築家。1985年東京都生まれ。2014年シュツットガルト大学マスターコースITECH修了した後に、2016​年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了​。2017年よりアメリカ、ニューヨークの設計事務所勤務。素材の可能性、組み合わせによる空間、場所のデザインを専門とする。代表作に、カーボンファイバーと伸縮性のある膜を用いた、新素材の組み合わせによるパビリオン「Weaving Carbon-fiber Pavilion」、自身が運営するレンタルキッチンスペース「TRAILER」のインテリアデザインなど。

instagram:@taikuma

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