ホタルジャコ科の一種であるアカムツ、通称「のどくろ」。喉が黒いから、とはなんとも明快である。主に日本海側で穫れる魚で北陸の高級魚として名高く、白身のトロとも呼ばれている。身体全体の色が赤いことからも推察できるように、水深200メートル海域で生息する深海魚である。

一年中獲れるうえにいつでも脂がのっているため、旬の時期には諸説ある。けれど“熱を通しても硬く締まらない”という特性を活かして、シンプルな塩焼き、あるいは鍋を楽しむなら今の時期がいいだろう。鍋は身からいい出汁が出るので、味付けは酒と塩のみで十分。のどぐろの一夜干しもまた美味。焼いたものに箸を入れると、きれいな脂がたっぷりと滴り、繊細な旨みが楽しめる。ちなみに刺身や握りで食べるなら、産卵前の初夏から夏がおすすめ。