秋に出回る赤唐辛子の束は、瓶に刺したり部屋の壁に吊るしたりして観賞を楽しんでいるうちに、いつの間にか保存に適した赤唐辛子が完成する。ただし赤は赤でも、深い赤色に完熟した唐辛子でないと干している間に変色したり傷んだりするので注意が必要だ。

唐辛子は季節の野菜で作る漬物の名脇役になる。冬の間なら白菜漬けや千枚漬け、柚子と大根の甘酢漬けやなますなどにも欠かせない。「辛みを出す」というよりも、「風味や旨味を加える」という使い方。防虫効果もあるため、米びつにも数本入れておくといい。

体を温める効果があると言われているが、それは瞬間的なもの。唐辛子を食べてカッと熱くなった後は、汗がひくようなクールダウンの時間が訪れる。暑い国に住む人々はそのあたりをよく心得ているため、暑いときにこそ辛いものを食べるという。こうして年中活躍する香辛料だからこそ、今の時期に一年分の唐辛子を干して、せっせと瓶に保存しておきたい。