腐っても「アジア」人だなと思うことがよくある。

やはり、猛烈に中華を食べたくなることがあるし、ミッドタウンに行ったらついでにコリアンタウンに寄りたくなるし、仕事が終わって気づいたら近所のラーメン屋に入っている自分がいる。ニューヨークには三つの大きなチャイナタウンがある。マンハッタンのものが有名かもしれないが、規模的には、ブルックリンやクイーンズの方が大きい。

先日、そのクイーンズは、Flushingという場所にあるチャイナタウンを訪れた。駅を降りると完全にアメリカにいること忘れる。ビルはネオンサインの明かりにくるまれ、中華屋台もそこら中にでている(写真)。完全に「アジア」の都市である。Flushingの食べ物の噂はかねがね聞いていたが、行ってみると本当に安くて美味しい。現地で食べるレベルである。詳しい友人の案内で台湾料理と小籠包の店をはしごし、マッサージ屋と向かった。マッサージのクオリティもコストパフォーマンスもすばらしかった。


コリアンもマンハッタンだけではなくエンジョイできる方法がある。

韓国に行ったことがある人ならご存知だろうが、コリアンのスパは素晴らしい。クイーンズに「Spa Castle」と、ニュージャージーには「King Spa」という大型スパがある。ぼくも、先週のThanksgivingの休暇を利用して、Spa Castleに行ってきた。マンハッタンからもシャトルバスがでていて行きやすい。ニュージャージーの住宅街のなかに、突如、韓国の豪邸のような建物が現れる。そこが目的地だ。

中に入るとまずお風呂を浴びて、チムジルバンと呼ばれるかまくら型のサウナがいくつもある、リラックススペースへと向かう。サウナで汗をかいた後は、レストランでスンドゥブチゲとシッケと呼ばれる米のジュースを飲む。満腹になってぼんやりと横になると、自分がどこにいるのかもうすっかりわからなくなる。ただ、居心地の良さには変わりがない。

マンハッタンの中の「アジア」は、まだニューヨークというフィルターを通っている気がするが、郊外に少し行くことで、そこにあるものも変わるし、体験としてもよりアジアへと没入することができる。

隈太一

隈太一

建築家。1985年東京都生まれ。2014年シュツットガルト大学マスターコースITECH修了した後に、2016​年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了​。2017年よりアメリカ、ニューヨークの設計事務所勤務。素材の可能性、組み合わせによる空間、場所のデザインを専門とする。代表作に、カーボンファイバーと伸縮性のある膜を用いた、新素材の組み合わせによるパビリオン「Weaving Carbon-fiber Pavilion」、自身が運営するレンタルキッチンスペース「TRAILER」のインテリアデザインなど。

instagram:@taikuma