大手家電メーカーが伸び悩む中、2003年に現社長の寺尾玄氏が創業したバルミューダは異色の存在だ。自然の風を再現するために9枚羽根と特殊なモーターで生み出したサーキューレーター「The GreenFan」に、スチームを発生することでまるで焼きたての味わいを楽しめるトースター「BALMUDA The Toaster」。見た目も使い方もシンプルに落とし込み、機能美を体現したプロダクトは、他社と比べて高価格帯でありながら、多くの人を惹きつけている。

そんなバルミューダが世に送り出し、大ヒットを記録した「BALMUDA The Toaster」「BALMUDA The Pot」といったキッチンシリーズの中で、第4弾となる商品「BALMUDA The Range」が12月1日に発売される。量販店に並ぶレンジといえば、省エネ化、多機能化などをうたい、各社凌ぎを削っているような状況だ。「BALMUDA The Range」はデザインと操作性を可能な限りシンプルにすることに焦点を置きながら、“音”という点で新しいレンジの体験を与えてくれる。

例えば、通常のレンジは出来上がりに“チン”と鳴るものだが、「The Range」ではお知らせの音に、ギターなどのアコースティック楽器の音が使われている。温めが完了した際には「ENJOY」というメッセージが現れる。料理を食べるという瞬間だけでなく、料理を作るというプロセスにおいても豊かさを与えてくれる、料理をする楽しさの“リードタイム”を伸ばしてくれるプロダクトなのだ。

ではそもそも、なぜバルミューダはこのような商品を生み出そうと考えたのか、”音を変える”ということでレンジを使う体験がどのように変わるのか、バルミューダに話を聞いた。

–大手家電メーカーが、レンジ機能に使い方の多様性を押し出す中、シンプルさを貫いた理由とは?

開発の際、実際にどのモードを使っているか社内で話したところ、温めモードだけを使用する人が多いということがわかりました。また、最近の多機能レンジを目の前にすると、一体どのボタンを押せば自分の求める温かさなのかがわからない、という意見もよくあります。さらに、電子レンジは家庭での普及率はすでに90%を超えると言われており、そもそもが素晴らしい商品だということが会議で話されました。

ですので新しいことをするのではなく、そもそも素晴らしい電子レンジの機能を「再パッケージ」することが役目だと思い、使う機能だけをシンプルに搭載することで、誰もが使いやすく、且つ日本のキッチンに馴染む佇まいを実現しました。

–”音を変える”という発想はどこから生まれたのか?

私たちの商品の理念は「モノより体験」をキーワードにしており、必要なのは製品の機能ではなく、その道具から発信される体験がどういうものなのかを想像できる内容であるべきだと考えています。キッチン(レンジ)から軽快な音楽が流れることで、朝の殺伐とした時間もちょっと楽しくなり、温め完了の際に「ENJOY」というメッセージを乗せることで、そこから出てくる料理が美味しいものになる、という想像をしてもらう体験が大切だと思っています。

デザインもハンドルに込めた3つの明かりから、レストランの佇まいを思わせるように工夫し、銅製の片手鍋、鉄製のフライパンなど、美しい調理道具に並んでも引けをとらないプロダクトを目指しました。

–「BALMUDA The Range」ではインターフェースのユニークさ以外に、どのような体験を付与してくれるのでしょうか?

バルミューダ:機能面での新しい体験は付与していません。ただ、私たちのキッチンシリーズのコンセプトは一貫して「キッチンを楽しく、テーブルを嬉しく」というものです。小さなお子様たちがモードを選んでギター音を楽しみ、それをみて親が喜ぶ、そんな風景を想像しながら作った商品だからです。

バルミューダ
TEL:0120-686-717
https://www.balmuda.com