たまには建築のことも書いてみよう。

ニューヨークは工事現場の多い街である。仮囲いが日本に比べて、ラフにつくられているので現場の中の様子が透けて見えるのもおもしろい。いま、特に多くの現場が集まる場所は「Hudson Yard」と呼ばれるマンハッタンの西側、チェルシーの上のあたりエリアである。使われなくなった高架の線路を公園にしたことでも知られる、「High Line」が終わる(始まる?)場所に位置する。ユニークな建築物群が徐々に姿を現し始める様子はなかなか圧巻である。「High Line」の設計者であるDiller Scofidio and Renforoは、「The Shed」と呼ばれる可動式の構造体による屋外文化施設(写真)をデザインした。


またイギリスの建築家Thomas Hetherwickによる「Vessel」という名の蜂の巣ような展望台も絶賛施工中である。そして、その周辺には、Zaha Hadidの設計したコンドミニアム「Curved NY」や一昨年オープンしたRenzo Pianoの設計した「Whitney Museum」などの建築的な見所もある。チェルシーのギャラリー街を巡ったあとに、今しか見られないニョーヨークの景色を仮囲いの向こうに見つけるのも楽しいかもしれない。

隈太一

隈太一

建築家。1985年東京都生まれ。2014年シュツットガルト大学マスターコースITECH修了した後に、2016​年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了​。2017年よりアメリカ、ニューヨークの設計事務所勤務。素材の可能性、組み合わせによる空間、場所のデザインを専門とする。代表作に、カーボンファイバーと伸縮性のある膜を用いた、新素材の組み合わせによるパビリオン「Weaving Carbon-fiber Pavilion」、自身が運営するレンタルキッチンスペース「TRAILER」のインテリアデザインなど。

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